調査研究ページ
調査結果(ダイジェスト版)
1.校務の状況に関する意識の推移
校務支援システムの運用前・1学期後・学年末の3回の質問紙調査すべてに回答があった12校、131人を分析対象とした。
校務支援システムによって期待される効果として6項目を提示し、校務の状況についてどのように感じているかたずねた。校務支援システムの運用前・1学期後・学年末の3回それぞれにおいて、回答者の平均値を求めた。
学校の児童生徒数
6項目すべてで校務支援システムの運用とともに、平均値が高くなる結果となった。この結果から、校務支援システムの運用の時間経過とともに、校務の状況が改善されたと感じていると考えられる。
特に校務の状況が改善されたと感じている時期は、項目によって異なることもわかった。「出欠状況の把握」、「転記ミスの少なさ」、「個人情報の保護」は、特に運用前と1学期後の間の平均値の伸びが大きいことから、システムの運用初期に効果を実感したと考えられる。「情報共有」、「評価内容の質的向上」、「効率的な処理」は、システムの運用が進むにつれて、徐々に効果を実感していると考えられる。
2.校務支援システムの機能の必要感の推移
校務支援システムの運用前・1学期後・学年末の3回の質問紙調査すべてに回答があった12校、131人を分析対象とした。
校務支援システムに実装されている典型的な10機能を提示し、必要な機能だと思うかたずねた。校務支援システムの運用前・1学期後・学年末の3回それぞれにおいて、回答者の平均値を求めた。
校務支援システムの機能の有用感
統計的な処理によって分析した結果、10項目のうち8項目で校務支援システムの運用とともに、平均値が高くなる結果となった。この結果から、校務支援システムの運用の時間経過とともに、機能の必要性をより感じていると考えられる。
特に必要性を感じている時期は、機能によって異なることもわかった。「成績・所見の入力支援」、「成績一覧表の印刷」、「通知表の印刷」、「出欠状況の把握」、「通知表レイアウトの編集」、「テスト結果の集計・印刷」は、特に運用前と1学期後の間の平均値の伸びが大きいことから、システムの運用初期に機能の必要性を実感したと考えられる。「学習履歴の把握」、「生徒指導情報の共有」は、特にシステムの運用初期が過ぎてから機能の必要性を実感したと考えられる。
3.インタビュー調査の回答事例
校長、教務主任、中堅教諭、若手教諭、養護教諭に、校務の状況や校務支援システムを運用して便利になった点等についてインタビューした際の回答事例です。

校長画像 校長
● 出欠状況を把握するまでの時間や手軽さは、正確かつ格段に早くなっている。
● システムの画面を見て、連続欠席している子がいれば、担任に声をかけて様子を聞いている。
● 校務用パソコン以外では個人情報は扱わない、個人的なUSBも使わないことになっている。データが外に漏れる心配は減っている。
● 今までと比べて、名簿で管理されている情報量が増えた。担任以外のクラスも含めて、子供のよいところも入力している。
● 日々の様子を入力していくことで、以前に比べて、子供のよさを見つけるようになった。

教務主任画像 教務主任
● 以前は、ファイルからコピーして使っていると、どの情報が最新かわからなくなる心配があった。最新の情報が確実に反映されるので、安心感がある。
● クラブや委員会の情報を入力しておけるので、口頭では流れてしまう情報が共有できた。情報量も年度末に向けて増え、情報の幅も広がった。
● 他のクラスの評価を見ながら、なぜその評価を付けたのか教員間で話し合いができた。

中堅教諭画像 中堅教諭
● 今までは記入ミスへの不安が大きかったが、転記がいらないので格段によくなった。
● 評価そのものを持ち出しできなくなったので、よかった。学校でやると決めてしまった方が安全だと感じている。
● システムに入力されている子供の様子の情報から、子供に声を掛け、フィードバックしている。子供からの信頼度も上がった。
● 名簿作成の負担が減った。担任に入力してもらえば、クラブの名簿なども自動的にできている。

若手教諭画像 若手教諭
● 出席簿を入力していると、情報を自動的に転記できるので、通知表作成時の負担が減った。
● 今まで成績や平均点を手計算していたので、負担が大きかった。自動的に計算してくれるので、早くなった。

養護教諭画像 養護教諭
● 健康観察表から全クラス分の出欠情報を養護教諭がまとめて入力している。保健室から入力できるので、職員室へ行けない時でもすぐ出欠状況を見てもらえるようになった。
● 情報が1か所にまとまっているので、情報が散らばることがなくなった。